26-Feb-2026
超高感受性CAR T細胞は、固形腫瘍を治療する戦略となる可能性がある
American Association for the Advancement of Science (AAAS)Peer-Reviewed Publication
CAR T細胞は特定の血液癌に対して有効であるが、固形腫瘍に対しては有効ではない。今回の新しいタイプの高感度CAR-T細胞は、固形腫瘍免疫療法における最大の障壁の1つである、固形腫瘍には広く共有されている単一の表面標的がないという問題を克服することを目指している。微量のタンパク質CD70でも検出できる超高感度受容体を作製することにより、前臨床モデルにおいて腎臓、卵巣、膵臓の腫瘍を根絶することができたことが報告された。この知見は、広範囲の固形腫瘍を治療できる可能性のある戦略を示している。キメラ抗原受容体(CAR)は、免疫細胞の機能を増強して特定の疾患標的を認識し攻撃するように設計された分子「ホーミングデバイス」である。CD19を標的とするCAR-T細胞は、特定の血液癌の治療を一変させ、他の治療に抵抗性を示した患者に持続的な寛解をもたらすことに成功している。しかし、多くの血液癌とは異なり、固形腫瘍には、がん細胞上には一貫して存在するが健康な組織にはほぼ存在しない広く共有され単一の表面標的がない。これまでの研究で、いくつかの固形腫瘍で異常に過剰産生されているCD70が、将来のCAR T免疫療法の有望な標的となり得ることが示唆されている。しかし、これらの腫瘍内でのCD70の発現は不均一であり、一部の癌細胞には大量にあるが、ほとんどないまたはない細胞もある。
Sophie Haninaらは、これらの腫瘍におけるCAR T療法の限界をよりよく理解するため、腎癌患者にみられるCD70のパッチワーク発現を再現する患者由来の異種移植片実験モデルを開発した。Haninaらは、すべての腫瘍細胞で幅広い範囲のCD70の発現が認められることを明らかにした。CD70陰性とされている腫瘍細胞であっても非常に低いレベルのCD70を発現していた。しかし、従来のCAR-T細胞で検出して破壊できるほど高いレベルではなかった。この知見に基づいて、Haninaらは、HLA非依存性T細胞(HIT)受容体と呼ばれる、はるかに感度が高く選択性の高いキメラ抗原受容体を作製し、マウスおよび細胞モデルにおいて、非常に低いCD70発現を示す腫瘍細胞を検出して除去できることを示した。この知見によると、これらのCD70-HIT細胞は、腎癌、卵巣癌、膵癌の各モデルにおいて、CD70発現レベルがさまざまな腫瘍を完全かつ永続的に根絶した。「20種類以上の固形腫瘍が不均一にCD70を発現している」とHaninaらは述べている。「われわれの知見は、CD70を汎癌標的と位置付け、腫瘍抗原が明らかに不均一であっても感度の高い免疫療法的アプローチが行える、さらなるステルス標的を明らかにするためのモデルとなる。」
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