10-Feb-2026 】「水の同位体」を用いて地球の水循環を精密に可視化――国際モデル比較プロジェクト WisoMIP による世界初の標準化解析―― Institute of Industrial Science, The University of Tokyo Peer-Reviewed Publication 東京大学 生産技術研究所の芳村 圭 教授、奉 協力研究員、コクワン特任助教、千葉大学環境リモートセンシング研究センターの岡崎 淳史 准教授、中央大学の李 一帆 助教、気象庁気象研究所の田上 雅浩 主任研究員らが参画する国際研究チームは、大気中の水循環を探る気候モデルの各開発者と連携した大型国際プロジェクトを進め、世界で初めて、同一条件で8つの気候モデルの比較に成功しました。 その結果、個々のモデルよりも複数のモデルの平均が観測と最もよく一致することが判明しました。 本成果は、地球の水循環過程の理解を深化させ、気候変動予測・古気候復元・衛星観測の高度化のための基盤データとしての活用が期待されます。
10-Feb-2026 自然に“意思”を感じる人は自然とのつながりを重視? 日本人の価値観を分析 Yokohama National University Peer-Reviewed Publication 横浜国立大学大学院環境情報研究院 中䑓亮介 講師、北海道武蔵女子大学 舘石和香葉 助教、北陸先端科学技術大学院大学 中分遥 准教授、國學院大學 藤井修平 助教、同志社大学文化情報学部 柴﨑祥太 助教の研究グループは、人々が自然の三つの価値(道具的価値・内在的価値・関係価値)をどのように捉えているのか、そしてそれらがアニミズム的思考・擬人化傾向・人間中心主義的な思考など伝統的な世界観とどのように関連しているのかを明らかにしました。 Journal Current Research in Ecological and Social Psychology Funder Research Institute for Humanity and Nature, Asahi Glass Foundation
9-Feb-2026 高精度な低温シリカガラス3Dプリンティング技術を開発 Yokohama National University Peer-Reviewed Publication 横浜国立大学の向井理特任助教および丸尾昭二教授の研究グループは、高温焼結工程を必要としないシリカガラスの3Dプリンティング技術を開発しました。本研究では、有機–無機ハイブリッド樹脂であるPOSS(シルセスキオキサン)を用いることで、従来のガラス3Dプリンティングで必要とされてきた1000℃以上の高温焼結を不要とし、約650–700℃という低温焼成で透明なシリカガラス構造体を得ることに成功しました。 Journal Polymers Funder Japan Science and Technology Agency
5-Feb-2026 都市規模の距離で量子セキュアなインターネット構築への大きな一歩を実証 American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 量子セキュアなインターネットの構築に向けた重大な一歩となる、100 kmにわたる光ファイバーでの装置無依存量子鍵配送を研究者らが実証した。この結果は、大都市規模――これまでの取り組みをはるかに超える長距離――での、この方法による暗号セキュリティが保証可能であることを示しており、量子ネットワークの原理検証実験と現実世界への適用とのギャップを埋めるものである。量子鍵配送(QKD)は、量子技術の最有力な適用の1つであり、極めて安全なデジタル通信を可能にする。初期のQKDは、信頼できる装置を使用して安全を確立するが、技術的な限界と脆弱性の問題がある。より高度なアプローチである装置無依存QKD(DI-QKD)は、基本的な量子現象(ベルの不等式の破れ)から直接その安全が得られ、量子装置の内部機能の信頼を必要としない。ただしDI-QKAは要求が非常に厳しく、質の高い量子もつれの生成と長距離での効率的な検出を必要とする。これまでDI-QKDは、実験室ベースの原理検証実験において短距離でしか実証されていなかった。今回Bo-Wei Luらは、100 kmの光ファイバーで結ばれた量子もつれ状態にある2つの原子間でのDI-QKDの実現を報告している。単一光子干渉、低損失通信波長への量子周波数変換、ノイズ抑制光子放出といった高度な技術を組み合わせることによって、Luらは長距離にわたる忠実度の高い量子もつれの配送に成功し、有限データで11 kmにわたる証明可能安全な量子鍵の生成を達成、さらに100 kmでも正の鍵レートが可能であることを示した。著者らによると、今回の成果はDI-QKDの距離をこれまでに実証されていた距離と比較して2桁以上延長したことになる。 Journal Science
5-Feb-2026 毒性の増加傾向が世界的な農薬削減の取り組みの進展を妨げる American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 最近の国連において、2030年までに農薬の使用量とリスクを半減させるという目標が設定されたにもかかわらず、世界中で、農薬の総毒性および生態系への害が増加している。本研究結果は、毒性で重み付けをした農薬使用の世界基準を確立するとともに、生物多様性に最も大きな影響を及ぼす農薬、作物、および国の組み合わせを特定するものである。農薬の広範な使用により、世界の生物多様性に対する脅威が増大している。この問題に対処するため、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年までに農薬の使用量とリスクを半減させるという目標を設定し、このほど新たな世界的指標である「総施用毒性(TAT)」を採用した。TATを用いれば、農薬の使用量だけでなく、各化学物質が生物にどれほど有害であるかを把握できる。しかしながら、農薬の毒性は非標的種ごとに大きく異なるため、これまでの地球規模の研究では限られた種類の農薬や種に注目するか、使用量のみに依存していた。こうした研究は通常、毒性に大きな違いがあることを見過ごしていた。その結果、農薬が生物多様性に及ぼす脅威の真の範囲や、国連の目標達成に向けた進展状況は依然として不明である。Jakob WolframらはTATアプローチを用いて、農薬が生態系に及ぼす害を測定する世界共通の手法を開発した。Wolframらは単一国の基準に依存するのではなく、世界の主要な7つの規制当局から、種群および農薬ごとの平均的な規制上の安全基準値を採用することで、その結果が世界の状況を反映するようにした。著者らはこの毒性基準で農薬の総使用量に重み付けをすることにより、625種類の農薬が幅広い種に及ぼすリスクを把握することのできる、単一の包括的指標を作成した。本研究結果によって、世界中で農薬の生態毒性が全般的に上昇しており、多くの国、作物、種群で増加傾向が見られることが明らかになった。全体として、TATはごく少数の高毒性化学物質に独占されており、果物、野菜、トウモロコシ、大豆、穀物、米が世界の農薬毒性の76~83%を占めている。さらに、中国、ブラジル、米国、インドが合わせて世界のTATの53~68%に関与している。Wolframらによると本研究結果は、根本的な変革を行わない限り、ほとんどの国が国連の農薬削減目標を達成できないことを実証しているという。 Journal Science
4-Feb-2026 山縣和也教授が第62回(2025年度)エルウィン・フォン・ベルツ賞を受賞しました Kumamoto University Grant and Award Announcement この度、山縣和也教授(生命科学研究部・病態生化学講座)が第62回ベルツ賞の2等賞を受賞されました。第62回のテーマは「インスリン分泌制御機構とインスリン分泌低下性糖尿病」であり、山縣教授の研究「膵β細胞転写因子の異常によるインスリン分泌低下型糖尿病の発見とその発症機構の解明」が選出されました。
4-Feb-2026 視覚は、どのように聴覚野を抑制するのか? National Institutes of Natural Sciences Peer-Reviewed Publication 誰かと話すときには、視覚を使って表情やジェスチャーを見ながら、聴覚を使って声を聴くように、ヒトは日常生活において異なる感覚の情報を組み合わせて、統合的に処理しています。このため、複数の感覚系の情報が脳においてどのように相互作用しているかを知ることは認知機能の基盤を理解する上で重要です。先行研究では、一つの感覚(視覚など)における入力が別の感覚(聴覚など)を処理する脳部位の活動を抑制する現象が報告されていましたが、その具体的なメカニズムについては議論が続いていました。 今回、生理学研究所の宮田季和特任研究員、竹村浩昌教授らは、超高磁場(7テスラ)磁気共鳴画像法(fMRI)による精密な分析により、この抑制が局所的な影響ではなく、脳の左右の半球にまたがる広域的なネットワークによるものであることを明らかにしました。 Journal Journal of Neurophysiology Funder the Grants-in-Aid for Japan Society for the Promotion of Science (KAKENHI), the Joint Research Program of the National Institute for Physiological Sciences, the MEXT Promotion of Development of a Joint Usage/Research System Project (CURE)
3-Feb-2026 ボソンでもフェルミオンでもない粒子エニオンが1次元にも存在 Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University Peer-Reviewed Publication 宇宙に存在する粒子は、ボソンかフェルミオンのいずれかに分類されると考えられてきました。しかし、なぜ“それ以外”は存在しないのでしょうか?2本の新しい論文は、1次元エニオン と呼ばれる、ボソンでもフェルミオンでもない粒子の理論的性質を初めて明らかにし、現在の実験装置を用いてこれらを観測するための“レシピ”を提示しています。本研究は、量子世界の根本的性質への理解を深める新たな道を開きます。 Journal Physical Review A Funder Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University
3-Feb-2026 心理健康危機:世界30カ国超の調査が示す「取り残される人々」と救済への道筋 Genomic Press Reports and Proceedings ハーバード大学医学部のRonald C. Kessler博士がGenomic Pressインタビューで、全国共存症調査(NCS)と世界精神保健調査(WMH)を通じて、精神疾患の有病率、治療格差、自殺予防政策に国際的転換をもたらした研究人生を語った。人口レベルの精密データが精神医療と公衆衛生の未来をどう形作るのかを問う内容となっている。 Journal Genomic Psychiatry
3-Feb-2026 シロシビンが拒食症モデル雌マウスの社会行動と炎症に文脈依存的効果を示す Genomic Press Peer-Reviewed Publication マジックマッシュルーム由来化合物シロシビンが、雌マウスの社会的新奇探索行動とIL-6介在性炎症反応に微妙ながら明確な「文脈依存的効果」を示すことが明らかになった。活動性食欲不振症(ABA)モデルでは、食物制限単独とは異なる行動プロファイルが観察され、代謝状態や運動背景が治療反応の個人差に関与する可能性が示唆された。 Journal Psychedelics Funder National Health and Medical Research Council, Monash Biomedicine Discovery Institute Graduate Scholarship (MBio)