12-Feb-2026
ゲノムから情報を得た育種方法でアメリカグリの復活を加速できる
American Association for the Advancement of Science (AAAS)Peer-Reviewed Publication
致死的な胴枯病で100年以上も壊滅状態にあった伝説的なアメリカグリの木が、新しいゲノム技術と慎重に育てた交雑種のおかげで、絶滅の淵から復活する可能性があることが新しい研究で判明した。その研究で実施された実験で、平均70~85%をアメリカグリの系統を使って樹木を育種すると、結果的に胴枯病と根腐れに対してかなりの抵抗性を持つ樹木になることが示された。アメリカグリの枯死は、外来の病気が固有種をいかに急激に壊滅させるかを示す最も顕著な例の一つである。クリ胴枯病の原因であるネクロトロフ菌は、19世紀後半にアジアのクリに付着して北米に持ち込まれた。数十年のうちに数十億ものアメリカグリが枯死し、かつてはメイン州からミシシッピ州にかけての森の優占種であったこの樹木は消滅した。現在、この種は機能的絶滅種と広く認識されている。アメリカグリ復活の取組みは、病害に強い樹木の育種も含め、1世紀以上続いている。自立再生するアメリカグリ個体群の回復に、中国グリの抵抗性対立遺伝子の遺伝子導入が寄与してきたものの、胴枯病抵抗性の遺伝的構造が複雑で不明点も多いことから進行は遅れている。
このギャップに対処しようと、Jared Westbrookらは交雑育種プログラムにおいて3つの重要な創始種となるクリの染色体スケールのゲノムアセンブリを作成した。高度にアノテーションされたこれらの参照ゲノムを比較し、Westbrookらは、大半の蛋白質コード遺伝子が種にわたって共有されており、コピー数多型(CNV)が中国グリの胴枯病耐性に寄与していると考えられることを発見した。さらにRNAシーケンシングでは、アメリカグリと中国グリでは胴枯病感染に対する反応が大きく異なることも示された。また、代謝産物プロファイリングでは、中国グリは菌の成長を抑制する化合物を高濃度で持っていることが判明し、これらの代謝産物を強化することでアメリカグリの抵抗性を向上できることが示唆された。こういった複雑さを考慮し、Westbrookらは、戻し交雑育種法を通じて抵抗性を持つ交雑種を作る際には循環選抜と多世代にわたる交雑がより有効だと考えられると主張している。「長期現場試験での樹木育種プログラムで、遺伝的獲得量を評価することが重要」とJared Westbrookは特筆している。「理想としては、局所環境の影響と形質に対する遺伝的影響を分けるために個々の家系を複数の現場に植えるべきである。」関係するPerspectiveでは、Steven StraussとGancho Slavovが本研究について更に詳しく論じている。
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