18-Jun-2025 Insilico Medicine、局所進行性/転移性固形腫瘍治療のための新規MAT2A阻害剤ISM3412の患者への初回投与を完了 InSilico Medicine Business Announcement マサチューセッツ州ケンブリッジ – 2025年6月18日 – 生成人工知能(AI)駆動の臨床段階バイオテクノロジー企業であるInsilico Medicine(「Insilico」)は本日、局所進行性および転移性固形腫瘍患者において、新規構造を持つ潜在的にベストインクラスでAI支援型のMAT2A阻害剤であるISM3412を評価する国際多施設臨床試験(NCT06414460)で最初の患者への投与が行われたことを発表しました。
17-Jun-2025 mRNAを標的組織に安定的に届けるために Innovation Center of NanoMedicine Peer-Reviewed Publication ポリプレックスミセル(PM)は、in vitroおよびマウスの血流中で構造的に安定だが、PMに内含するmRNAには、リボヌクレアーゼ (RNase) が作用し、PMから解離しなくてもin vitroおよび in vivoで分解してしまうことが知られており、PMの全身投与におけるRNase耐性の向上は、mRNA薬の大きな課題です。本研究では、RNaseからmRNAを保護できるPMの設計要因を特定しました。 ポリカチオンの構造と長さが、RNaseに対する安定性の必要因子です。 Journal Journal of Controlled Release Funder Japan Science and Technology Agency, Japan Agency for Medical Research and Development
16-Jun-2025 Insilico Medicine、オーバーサブスクライブされたシリーズE資金調達を完了、総調達額約1億2,300万ドルに到達 InSilico Medicine Business Announcement マサチューセッツ州ケンブリッジ、6月16日 — 臨床段階の生成人工知能(AI)駆動創薬会社であるInsilico Medicine(「Insilico」)は本日、シリーズE資金調達ラウンドの完了を発表し、投資家からの強い関心により当初目標を上回る総額約1億2,300万ドルを調達した。このオーバーサブスクライブされたシリーズEラウンドは、生成AIプラットフォームと社内の深い創薬能力を組み合わせて強化学習を継続的に向上させ、Pharma.AIを強化し、科学的イノベーションを推進するInsilicoの独自のデュアルエンジンビジネスモデルをさらに評価するものである。
10-Jun-2025 日本初、翼竜類の新属新種命名 Kumamoto University Peer-Reviewed Publication 日本の翼竜の記録は比較的少なく、白亜紀層からいくつかの断片標本が知られているにすぎません。この度、中国石河子大学 周 炫宇 博士、御船町恐竜博物館 池上 直樹 博士、ブラジルサンパウロ大学動物学博物館 ベガス ロドリゴ 博士、熊本大学研究開発戦略本部 技術専門員 吉永 徹 氏、元 熊本大学技術部 技術専門職員 佐藤 宇紘 博士、熊本大学大学院先端科学研究部 教授 椋木 俊文 博士、熊本大学 理事・副学長 大谷 順 博士、北海道大学総合博物館 教授 小林 快次 博士の研究チームは、御船層群産の翼竜化石標本を再検討し、CTスキャナーで得られたデータ等に基づいて、その系統学的位置づけを検証しました。その結果、この標本は日本産の翼竜としては、初めて新種として命名されるべきものであることがわかりました。また、この新種の翼竜はモンゴルのチュロニアン期〜コニアシアン期の地層から産出している未命名のアズダルコ科の翼竜と最も近縁であり、後期白亜紀後半に北米に生息していた大型翼竜ケツァルコアトルスと同じ系統に属する結果が示されました。 Journal Cretaceous Research Funder FAPESP, Willi Hennig Society
10-Jun-2025 Insilico Medicine、生成化学イノベーションの加速を支援するためAWS MarketplaceでNach01基盤モデルを開始 InSilico Medicine Business Announcement 生成人工知能(AI)に基づく臨床段階のバイオテクノロジー企業であるInsilico Medicineは本日、Amazon Web Services(AWS)上でのNach01基盤モデルの最近のリリースを発表しました。これはAWS Marketplace(あらゆる規模の企業がAWSパートナーからソリューションを見つけ、購入、展開することを支援するキュレーションストアフロント)を通じて利用可能です。この開始は、薬物設計のための高度なAIツールへのアクセス提供を目的とした、AWSとInsilico MedicineのPharma.AIプラットフォーム間の継続的なコラボレーションにおける重要なステップを表しています。Nach01は大規模言語モデルを活用して構造データと空間データの両方を処理します。両方の前身の強みを組み合わせて、Nach01は数百の多様なタスクを解決するよう設計されており、広範囲で包括的な化学知識を提供します。
9-Jun-2025 培養肉の「味成分」は熟成で増加――分化と熟成がもたらす遊離アミノ酸変化を解明し、味制御へ―― Institute of Industrial Science, The University of Tokyo Peer-Reviewed Publication 東京大学 生産技術研究所 竹内 昌治 特任教授(本務:同大学大学院情報理工学系研究科 教授)と、同大学大学院工学系研究科 古橋 麻衣 大学院生らによる研究グループは、培養筋肉細胞と3次元筋組織の熟成によって、肉の味の鍵となる遊離アミノ酸(FAAs)が顕著に増加することを明らかにしました。 分化によって一度減少したFAAsは、熟成によって再び増加することが確認されました。さらに熟成後の培養肉は市販の牛肉よりも高いFAAs含有量を持つことが示されました。 培地中のFAAs濃度を変化させることで、細胞内FAAsも変化することが確認され、培養条件によって培養肉の味(甘味、うま味、苦味)を制御できる可能性が示されました。 Journal Food Chemistry
6-Jun-2025 ゲートオールアラウンド型 ナノシート酸化物半導体トランジスタを開発――半導体の高集積化・高機能化へ期待―― Institute of Industrial Science, The University of Tokyo Peer-Reviewed Publication 東京大学 生産技術研究所 小林 正治 准教授と、奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 物質創成科学領域 浦岡 行治 教授、髙橋 崇典 助教らによる共同研究グループは、結晶化酸化物半導体の形成技術を開発し、トランジスタの高性能化・高信頼性化を実現しました。 同技術によりゲートオールアラウンド型酸化物半導体トランジスタを開発しました。 半導体の高集積化とそれによる高機能化により、ビッグデータを利活用する社会サービスの展開が期待されます。 Meeting 2025 Symposium on VLSI Technology and Circuits
5-Jun-2025 ウリンは加齢の信頼できるバイオマーカーでないことが、縦断研究より明らかに American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 動物とヒトの研究から、タウリン濃度の低値が加齢の促進因子である可能性が示唆されたことを受けて、タウリンが加齢のバイオマーカーであるのか否かについて議論となっている。今回、ヒト、サルおよびマウスから得られた縦断データを用いた包括的な研究により、タウリンの血中濃度は年齢とともに一貫して低下するわけではないこと、またタウリン濃度は加齢によるよりも各個人・個体に特異的な因子によってばらつきがあることが示されている。これらの結果から、この研究の著者であるMaria Fernandezらはこう結論づけている。「加齢を遅らせる、あるいは加齢関連症状を幅広く治療する上で、タウリン補充の有効性は諸条件に依存する可能性がある。微量栄養素であるタウリンは、動物に最も豊富に認められるアミノ酸の一つであり、生物学的に幅広い役割を有することおよび健康にとって有益である可能性があることと認識されている。Scienceで発表された研究(June 2023 Research Article)を含め、最近のいくつかの研究では、研究対象とされた動物種においてタウリンの血中濃度が年齢とともに低下すること、またタウリン補充が加齢のプロセスを遅らせ健康な一生を促進する可能性が示されている。これらの結果とその他の結果を受けて、タウリン濃度が加齢を評価するための血中バイオマーカーとなり得るか否かの議論も促されることとなった。 タウリンが加齢における真のバイオマーカーであるとみなすためには、タウリンは多様な集団において年齢に伴って経時的に確実に変化することが、理想的には縦断データによるエビデンスで示される必要がある。Fernandezらによる今回の新たな研究によれば、これまでの研究(そのほとんどは横断データに基づく)では、タウリンの血中濃度が年齢に伴ってどのように変化するのかについての結果は一貫していなかった。これらの以前の研究に基づいて、Fernandezらは幅広い年齢層から成る独立した3つの大規模ヒトコホート、アカゲザルおよびマウスを対象に、タウリン濃度について包括的な縦断・横断解析を行った。その結果、タウリンの血中濃度は、健康な個人・個体では年齢にかかわらず一定であるか年齢とともに上昇すること、またタウリン濃度の変動には年齢そのものよりも食事・性別や種といった個人・個体における差がより大きな影響を及ぼすことが分かった。またこの解析の結果、タウリン濃度と健康の機能的指標、例えば筋力や体重などとの関係は、諸条件と種によってばらつきがあることも明らかになった。これらの結果では、タウリン濃度の低下と加齢との間に因果関係があることについて一貫したエビデンスは得られなかった。これらの結果に基づいてFernandezらは、タウリンは加齢に関する信頼度の高いバイオマーカーではなく、抗加齢(アンチエイジング)療法としての効果は普遍的なものではなく諸条件に依存する可能性があると結論づけた。 Scienceはこの研究について議論するため、米国東部標準時2025年6月3日午前11時にembargo briefingを予定している。このスペースに掲載された研究について実りある議論を行うため、このbriefingには、以前にScienceに掲載され今回の記事でも触れられた研究「タウリン不足は加齢の促進因子(Taurine deficiency as a driver of aging)」(SciPakチームは2023年6月に、この研究について報道解禁に合わせたembargo briefingを開催した。こちらから閲覧可能。)の著者が参加することになっている。 Journal Science
5-Jun-2025 ライダー調査により、米国ミシガン州アッパー半島における植民地時代以前の広範なトウモロコシ栽培が明らかに American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 新たな考古学調査から得られた知見によって、北米の集約農業は中央集権的な社会または栽培に適した環境でしか行われなかった、という長年の仮定に疑問が呈された。この知見から、米国ミシガン州アッパー半島では植民地時代以前に広範な農業景観が広がっていたことが明らかになり、この地は寒冷な気候で栽培限界であるにもかかわらず、アメリカ先住民のコミュニティは西暦1000年から1600年の間にトウモロコシを集約的に栽培していたことが示唆された。現在米国と呼ばれている土地では、アメリカ先住民コミュニティが次第に集約的なトウモロコシ栽培に依存するようになった。この農業変化は、大きな社会的・環境的変化に伴うものである。しかし、ミシガン州北部のように森林が密集し、気候が寒冷で、生育可能期間が短い栽培限界にある地域の場合、特にワイルドライス(マコモの種子)が豊富に手に入ることを考えると、どのような規模でトウモロコシが栽培され、どの程度農業が集約化されていたかは依然として不明であった。米国東部の多くの地域において、植民地時代以前に集約的農業が行われたという直接証拠が得られるのは極めてまれである。なぜなら、先住民の農地の大部分は、植民地時代の欧州人やアメリカ人による耕作、定住、産業活動によって、不可逆的に変化してしまったからである。しかし、ミシガン州アッパー半島のシックスティ・アイランズ地域にある考古学遺跡には、珍しいことに、植民地時代以前の複雑な盛り土畑とトウモロコシ栽培の証拠が残されている。著者らによると、シックスティ・アイランズの遺跡は、ミシガン州で唯一知られている植民地時代以前の農地遺跡として保存されているが、現在採鉱が提案されており、脅威にさらされているという。 祖先が行っていた農作業の規模と性質について理解を深めるため、Madeleine McLeesterらは、シックスティ・アイランズの遺跡でドローンによるライダー調査と発掘を実施した。その結果、土を盛り上げた畝が300ヘクタール以上にわたり広がる、きわめて保存状態の良い広大なシステムが見つかった。これは米国東部でアメリカ先住民の祖先が農業を行っていたことを示す、最も大規模な既知の例である。放射性炭素年代の測定結果は、畝になった農地が西暦1000年から1600年の間に盛んに利用されていたことを示している。この期間は気温の低い小氷期と重複している。気候は厳しく、労働力は乏しく、主食となる別の食物が自然界にあったにもかかわらず、農民だった祖先はトウモロコシやその他の作物を栽培し、顕著な成功を収めたのである。さらにMcLeesterらは、堆肥にした家庭ごみや栄養豊富な湿地土壌を取り入れて肥沃度を高めるなど、高度な土壌管理が行われていた証拠も見出した。この調査では、農業構造に加えて、埋葬塚、儀式用土構造物、居住場所など、関連する考古学的特徴も数多く明らかになり、農業が広範な文化的景観にすっかり組み込まれていたことが示唆された。集約農業は中央集権的な政治権力と大規模な集団に結びついているという長年の仮定に反して、著者らは、この複雑なシステムが小規模で平等主義的なコミュニティによって作り出されたことを示した。 Journal Science
5-Jun-2025 世界初!早老症ウェルナー症候群患者さんを対象とする臨床試験 ニコチンアミド リボシドが動脈硬化指標、難治性潰瘍、腎機能改善に有効 Chiba University Peer-Reviewed Publication 千葉大学 横手幸太郎学長、同大大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学の前澤善朗講師、正司真弓助教、加藤尚也助教、同大予防医学センターの越坂理也准教授らの研究チームは、希少難病である早老症ウェルナー症候群の患者さんを対象に、ニコチンアミド リボシド(以下、NR)注1)を用いた世界初の二重盲検無作為化クロスオーバープラセボ対照試験を成功させました。その結果、NRは動脈硬化指標および難治性皮膚潰瘍を有意に改善し、腎機能低下の抑制を認めました。 この結果により、NRはウェルナー症候群の動脈硬化、難治性皮膚潰瘍の改善および腎機能障害の予防に有益であると考えられます。 本研究成果は、2025年6月3日に、学術誌Aging Cellで公開されました。 Journal Aging Cell Funder JSPS KAKENHI, the MHLW Research on Rare and Intractable Diseases Program, AMED, NordForsk Foundation