7-May-2026
森林燃料処理は山火事のリスクを低減するうえに、費用対効果も高い
American Association for the Advancement of Science (AAAS)Peer-Reviewed Publication
米国西部の山火事についての大規模分析により、米国森林局の燃料削減処理は火災の拡大と強度を抑えるだけでなく、そのための投資は1ドルにつき回避される被害で3倍を超える価値を生み出すことが示された。山火事はこの数十年で著しく激化し、米国だけで年間数千億ドルに達する広範囲な経済、環境、公衆衛生上の被害をもたらしている。これらのリスクは、火災多発地域で気候変動と開発が続くに従って増大すると予想される。山火事の強度を上げる一番の要因は可燃性植物、すなわち「燃料負荷」の蓄積である。この燃料負荷は歴史的に、先住民が土地管理慣行として意図的に行う火入れなどの低強度の頻繁な火災によって蓄積が食い止められてきた。森林の火入れや間伐といった燃料削減戦略の目的は、より回復力のある状態を取り戻し、山火事に関連する被害を軽減することである。しかしこれらの戦略は依然として活用が不十分で、その理由は、経済的利益が出るのが遅く、定量化も難しいこと、また、データが限られているうえに火災動態が複雑なために全体的な有効性の評価が難しいことにある。
Frederik Straboらは、山火事のリスクが高く、データも豊富な米国西部に焦点を合わせ、2017年から2023年に11の州で米国森林局(USFS)の燃料処理活動と重なった285件の山火事を含む高解像度データセットを作成した。彼らは、観測された山火事と燃料処理が行われなかったモデルシナリオを比較することで、燃料処理のおかげで回避できた被害額を推定し、それを経済的価値とした。これにより彼らは、燃料処理が役立つかどうかだけでなく、いつ、どこで最もその費用対効果が高いかを評価することができた。その結果によると、燃料処理によって山火事の拡大と強度が共に激減したという。これはおそらく、炎勢が弱まり、消防隊が状況管理しやすくなったことによる。全体として、燃料処理によって、それが行われなかったシナリオと比較して、調査期間中の総燃焼面積が36%減少した。Straboらの推定によると、これらの介入によって、資産損失や二酸化炭素排出、有害大気汚染が減少するなど、約27億から28億ドルの損害を防止できた。更に、平均すると、燃料削減への投資1ドルにつき、被害回避で3ドル以上の成果が得られ、また、多くのプロジェクトが一層の成果をあげている。このことは的を絞った燃料処理戦略によってこれらの成果が更に増大しうることを示唆している。「しかし、(これらの戦略が持つ)可能性を最大限現実化するには科学的合意以上のもの、大胆な政策改革が必要になってくる」とStraboらは書いている。
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