研究者らの報告によると、減煙介入ではしっかりつながった少人数のみを標的にすると喫煙が最も大きく減少するという。この発見は、仲間の影響を効果的に利用する社会的ネットワークを基盤とした介入を設計する際の実用的な手掛かりとなる。仲間の影響は、思春期の行動、喫煙といった特に健康関連の習慣の形成に強力な役割を果たしている。これは、行動や規範が感受性豊かな成長期に社会的ネットワークを通して広がることによる。これまでの研究で、そういった影響は友人関係を通して、更には友人の友人を通しても、波及することが示されている。しかし、その影響が社会的距離と共にどの程度急速に減衰するのか、そして、その過程に社会的ネットワークの構造がどう影響するのかは依然としてわかっていない。Cheng Wangらは、確率的アクター指向モデル(SAOMS)と思春期から成人期の健康に関する全国長期追跡研究であるNational Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health(Add Health)のデータセット内の2校、3,154人の生徒のデータを用いて、仲間の影響は社会的距離によってどう減衰するかを調査した。彼らは行動への影響がどのように拡散したり減衰したりするかについて解明を進めようと、無作為抽出した学生、若しくは社会的ネットワーク内の最も中心的な学生を標的に、様々な減煙介入策の効果を評価した。Wangらは、減煙介入における仲間の影響は介入標的から最大3次の隔たりにまで及ぶことを発見した。社会的ネットワーク内で10~30%のつながりの強い人たちを標的にすると、喫煙は最も大きく減少した。一方、標的対象を40~50%以上にまで拡大すると、ネットワークが飽和状態に達してしまい、効果は減少した。更にWangらは、社会的ネットワークの構造が問題であることも発見した。例えば、ネットワーク密度が高いほど影響の拡散は広く、減衰は遅い。密度が低いほど拡散は限定的になるという。