19-Jun-2025 オニヒトデのコミュニケーションの仕組みを解明し、サンゴ礁保護の手がかりに Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University Peer-Reviewed Publication 現在、オニヒトデの対策としては、一匹ずつ手作業で取り除いて駆除する方法が主流ですが、非常に非効率で、労働集約的であり、コストもかかります。そうした中、オーストラリア海洋科学研究所(AIMS)とオーストラリアのサンシャインコースト大学、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは、オニヒトデがその特徴的なとげを使って、繁殖期以外でもペプチドの「匂い」を嗅ぎ分け、互いにコミュニケーションを取っていることを発見しました。この発見を基に、研究チームは低濃度で毒性のない合成ペプチドを開発しました。この研究成果は科学誌『iScience』に掲載されました。今回の発見は、オニヒトデを特定の場所に誘導し、多くの個体を一度に効率よく駆除することを可能にする、有力な有害生物制御用ペプチド「Acanthaster attractins」の開発につながる可能性があります。 Journal iScience
18-Jun-2025 Insilico Medicine、局所進行性/転移性固形腫瘍治療のための新規MAT2A阻害剤ISM3412の患者への初回投与を完了 InSilico Medicine Business Announcement マサチューセッツ州ケンブリッジ – 2025年6月18日 – 生成人工知能(AI)駆動の臨床段階バイオテクノロジー企業であるInsilico Medicine(「Insilico」)は本日、局所進行性および転移性固形腫瘍患者において、新規構造を持つ潜在的にベストインクラスでAI支援型のMAT2A阻害剤であるISM3412を評価する国際多施設臨床試験(NCT06414460)で最初の患者への投与が行われたことを発表しました。
17-Jun-2025 ACS Medicinal Chemistry Letters|Insilico MedicineのChemistry42が新規化学型のPan-KRAS阻害剤を実現 InSilico Medicine Peer-Reviewed Publication 生成的人工知能(AI)によって駆動される臨床段階のバイオテクノロジー企業であるInsilico Medicineは本日、構造ベース創薬設計、スキャフォールドホッピングと集約的分子モデリングを組み合わせ、InsilicoのプロプライエタリーGenerative Chemistry プラットフォームであるChemistry42の生成化学手法によって強化された、新しい化学型の新規pan-KRAS阻害剤の開発を発表した。人工知能と人間の専門知識の共同努力により開発された候補化合物は、ナノモル上位レンジの効力でpan-KRAS阻害を実証した。結果は最近_ACS Medicinal Chemistry Letters_に掲載された。 Journal ACS Medicinal Chemistry Letters
17-Jun-2025 mRNAを標的組織に安定的に届けるために Innovation Center of NanoMedicine Peer-Reviewed Publication ポリプレックスミセル(PM)は、in vitroおよびマウスの血流中で構造的に安定だが、PMに内含するmRNAには、リボヌクレアーゼ (RNase) が作用し、PMから解離しなくてもin vitroおよび in vivoで分解してしまうことが知られており、PMの全身投与におけるRNase耐性の向上は、mRNA薬の大きな課題です。本研究では、RNaseからmRNAを保護できるPMの設計要因を特定しました。 ポリカチオンの構造と長さが、RNaseに対する安定性の必要因子です。 Journal Journal of Controlled Release Funder Japan Science and Technology Agency, Japan Agency for Medical Research and Development
16-Jun-2025 Insilico Medicine、オーバーサブスクライブされたシリーズE資金調達を完了、総調達額約1億2,300万ドルに到達 InSilico Medicine Business Announcement マサチューセッツ州ケンブリッジ、6月16日 — 臨床段階の生成人工知能(AI)駆動創薬会社であるInsilico Medicine(「Insilico」)は本日、シリーズE資金調達ラウンドの完了を発表し、投資家からの強い関心により当初目標を上回る総額約1億2,300万ドルを調達した。このオーバーサブスクライブされたシリーズEラウンドは、生成AIプラットフォームと社内の深い創薬能力を組み合わせて強化学習を継続的に向上させ、Pharma.AIを強化し、科学的イノベーションを推進するInsilicoの独自のデュアルエンジンビジネスモデルをさらに評価するものである。
10-Jun-2025 日本初、翼竜類の新属新種命名 Kumamoto University Peer-Reviewed Publication 日本の翼竜の記録は比較的少なく、白亜紀層からいくつかの断片標本が知られているにすぎません。この度、中国石河子大学 周 炫宇 博士、御船町恐竜博物館 池上 直樹 博士、ブラジルサンパウロ大学動物学博物館 ベガス ロドリゴ 博士、熊本大学研究開発戦略本部 技術専門員 吉永 徹 氏、元 熊本大学技術部 技術専門職員 佐藤 宇紘 博士、熊本大学大学院先端科学研究部 教授 椋木 俊文 博士、熊本大学 理事・副学長 大谷 順 博士、北海道大学総合博物館 教授 小林 快次 博士の研究チームは、御船層群産の翼竜化石標本を再検討し、CTスキャナーで得られたデータ等に基づいて、その系統学的位置づけを検証しました。その結果、この標本は日本産の翼竜としては、初めて新種として命名されるべきものであることがわかりました。また、この新種の翼竜はモンゴルのチュロニアン期〜コニアシアン期の地層から産出している未命名のアズダルコ科の翼竜と最も近縁であり、後期白亜紀後半に北米に生息していた大型翼竜ケツァルコアトルスと同じ系統に属する結果が示されました。 Journal Cretaceous Research Funder FAPESP, Willi Hennig Society
10-Jun-2025 Insilico Medicine、生成化学イノベーションの加速を支援するためAWS MarketplaceでNach01基盤モデルを開始 InSilico Medicine Business Announcement 生成人工知能(AI)に基づく臨床段階のバイオテクノロジー企業であるInsilico Medicineは本日、Amazon Web Services(AWS)上でのNach01基盤モデルの最近のリリースを発表しました。これはAWS Marketplace(あらゆる規模の企業がAWSパートナーからソリューションを見つけ、購入、展開することを支援するキュレーションストアフロント)を通じて利用可能です。この開始は、薬物設計のための高度なAIツールへのアクセス提供を目的とした、AWSとInsilico MedicineのPharma.AIプラットフォーム間の継続的なコラボレーションにおける重要なステップを表しています。Nach01は大規模言語モデルを活用して構造データと空間データの両方を処理します。両方の前身の強みを組み合わせて、Nach01は数百の多様なタスクを解決するよう設計されており、広範囲で包括的な化学知識を提供します。
9-Jun-2025 培養肉の「味成分」は熟成で増加――分化と熟成がもたらす遊離アミノ酸変化を解明し、味制御へ―― Institute of Industrial Science, The University of Tokyo Peer-Reviewed Publication 東京大学 生産技術研究所 竹内 昌治 特任教授(本務:同大学大学院情報理工学系研究科 教授)と、同大学大学院工学系研究科 古橋 麻衣 大学院生らによる研究グループは、培養筋肉細胞と3次元筋組織の熟成によって、肉の味の鍵となる遊離アミノ酸(FAAs)が顕著に増加することを明らかにしました。 分化によって一度減少したFAAsは、熟成によって再び増加することが確認されました。さらに熟成後の培養肉は市販の牛肉よりも高いFAAs含有量を持つことが示されました。 培地中のFAAs濃度を変化させることで、細胞内FAAsも変化することが確認され、培養条件によって培養肉の味(甘味、うま味、苦味)を制御できる可能性が示されました。 Journal Food Chemistry
6-Jun-2025 ゲートオールアラウンド型 ナノシート酸化物半導体トランジスタを開発――半導体の高集積化・高機能化へ期待―― Institute of Industrial Science, The University of Tokyo Peer-Reviewed Publication 東京大学 生産技術研究所 小林 正治 准教授と、奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 物質創成科学領域 浦岡 行治 教授、髙橋 崇典 助教らによる共同研究グループは、結晶化酸化物半導体の形成技術を開発し、トランジスタの高性能化・高信頼性化を実現しました。 同技術によりゲートオールアラウンド型酸化物半導体トランジスタを開発しました。 半導体の高集積化とそれによる高機能化により、ビッグデータを利活用する社会サービスの展開が期待されます。 Meeting 2025 Symposium on VLSI Technology and Circuits
5-Jun-2025 ウリンは加齢の信頼できるバイオマーカーでないことが、縦断研究より明らかに American Association for the Advancement of Science (AAAS) Peer-Reviewed Publication 動物とヒトの研究から、タウリン濃度の低値が加齢の促進因子である可能性が示唆されたことを受けて、タウリンが加齢のバイオマーカーであるのか否かについて議論となっている。今回、ヒト、サルおよびマウスから得られた縦断データを用いた包括的な研究により、タウリンの血中濃度は年齢とともに一貫して低下するわけではないこと、またタウリン濃度は加齢によるよりも各個人・個体に特異的な因子によってばらつきがあることが示されている。これらの結果から、この研究の著者であるMaria Fernandezらはこう結論づけている。「加齢を遅らせる、あるいは加齢関連症状を幅広く治療する上で、タウリン補充の有効性は諸条件に依存する可能性がある。微量栄養素であるタウリンは、動物に最も豊富に認められるアミノ酸の一つであり、生物学的に幅広い役割を有することおよび健康にとって有益である可能性があることと認識されている。Scienceで発表された研究(June 2023 Research Article)を含め、最近のいくつかの研究では、研究対象とされた動物種においてタウリンの血中濃度が年齢とともに低下すること、またタウリン補充が加齢のプロセスを遅らせ健康な一生を促進する可能性が示されている。これらの結果とその他の結果を受けて、タウリン濃度が加齢を評価するための血中バイオマーカーとなり得るか否かの議論も促されることとなった。 タウリンが加齢における真のバイオマーカーであるとみなすためには、タウリンは多様な集団において年齢に伴って経時的に確実に変化することが、理想的には縦断データによるエビデンスで示される必要がある。Fernandezらによる今回の新たな研究によれば、これまでの研究(そのほとんどは横断データに基づく)では、タウリンの血中濃度が年齢に伴ってどのように変化するのかについての結果は一貫していなかった。これらの以前の研究に基づいて、Fernandezらは幅広い年齢層から成る独立した3つの大規模ヒトコホート、アカゲザルおよびマウスを対象に、タウリン濃度について包括的な縦断・横断解析を行った。その結果、タウリンの血中濃度は、健康な個人・個体では年齢にかかわらず一定であるか年齢とともに上昇すること、またタウリン濃度の変動には年齢そのものよりも食事・性別や種といった個人・個体における差がより大きな影響を及ぼすことが分かった。またこの解析の結果、タウリン濃度と健康の機能的指標、例えば筋力や体重などとの関係は、諸条件と種によってばらつきがあることも明らかになった。これらの結果では、タウリン濃度の低下と加齢との間に因果関係があることについて一貫したエビデンスは得られなかった。これらの結果に基づいてFernandezらは、タウリンは加齢に関する信頼度の高いバイオマーカーではなく、抗加齢(アンチエイジング)療法としての効果は普遍的なものではなく諸条件に依存する可能性があると結論づけた。 Scienceはこの研究について議論するため、米国東部標準時2025年6月3日午前11時にembargo briefingを予定している。このスペースに掲載された研究について実りある議論を行うため、このbriefingには、以前にScienceに掲載され今回の記事でも触れられた研究「タウリン不足は加齢の促進因子(Taurine deficiency as a driver of aging)」(SciPakチームは2023年6月に、この研究について報道解禁に合わせたembargo briefingを開催した。こちらから閲覧可能。)の著者が参加することになっている。 Journal Science