News Release

インプラントにより、「糖尿肥満」の薬剤を使わない管理が可能に

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

植込み型のワイヤレス電子デバイスで、薬剤を使わずに、肥満と2型糖尿病という相互に関連する代謝疾患を管理できる可能性がある。このデバイスは、必要に応じて電極触媒作用を利用して過剰なグルコースを血流から除去する。肥満と糖尿病は、密接に関連した代謝疾患であり、複雑なホルモン、炎症、エネルギー調節プロセスを介して相互に助長し合い、ともに「糖尿肥満」の世界的な増加に寄与している。既存の治療は、長期にわたる薬物療法と生活習慣の改善に大きく依存しているが、現在の血糖モニタリングとインスリン送達システムは、正確性、信頼性、個別化、コストにおいて限界がある。遺伝子改変治療用細胞や体重と血糖値の両方を標的とする薬剤などの新たなアプローチは有望であるが、副作用、安全性、費用負担の懸念といった制約がある。新たに登場したもう1つの治療戦略では、電極表面を用いてグルコースを他の化合物に変換する化学反応を生じさせる、電極触媒作用が利用されている。

 

Debasis Maityらは、電極触媒作用を用いて、ECHO(electrocatalytic closed-loop health optimization:電極触媒閉ループ型健康最適化)と呼ばれる植込み型デバイスを開発した。このワイヤレスデバイスは、白金修飾した金触媒を用いて、循環血中のグルコースをグルコン酸塩に変換する(グルコン酸塩は腎臓から排泄できる)。スマートフォンを介して持続血糖モニターに接続すると、血糖値が事前に設定した閾値を超えた場合にECHOが自動的に作動し、外部からのインスリンや薬剤を使用することなくグルコースを選択的に除去できる。Maityらは、2型糖尿病の肥満マウスを用いた概念実証試験で、低電力(0.75 V、10 mA)でこの装置をワイヤレス作動させたとき、1時間以内に血糖が正常値に回復し、身体のエネルギー源がグルコースから脂肪へとシフトしたと報告した。6週間の処置により、マウスの体重とトリグリセリド値が低下するとともに、血中の遊離脂肪酸とケトン体が増加した。これらの変化に伴って、検出可能な低血糖エピソード、または生理機能や炎症、行動への有害な影響が生じることはなかった。「現在の生体電子デバイスは、神経および神経筋系に良好にアクセスできる」と、関連するPerspectiveでWilliam BentleyとGregory Payneは述べている。「そのため、今後の電子的な介入デバイスは、糖尿病以外の疾患の管理、ヒトとマイクロバイオームの相互作用の調節、ストレス条件下での酸化還元恒常性の維持など、さまざまな用途に役立つと考えられる。」


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