News Release

Psilocybinはマウスにおいて化学療法誘発性末梢神経障害を予防する

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

脳に対する作用を有することで最も良く知られた幻覚性化合物が、化学療法に関連する極めて消耗性の高い副作用の一つである化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の予防に有用となる可能性が報告されている。マウスモデルにおいて、化学療法薬投与前にpsilocybin(サイロシビン)をわずか2回投与することで、化学療法の複数サイクル施行を通して持続的にCIPNが予防された一方、神経機能の維持と化学療法の腫瘍殺傷効果の保持が認められた。これまで、psilocybinについてCIPNに対する予防効果について検討した研究はなかったと、この研究の著者らは述べている。CIPNは、プラチナベースの抗がん治療でよく見られ、しばしば生活機能の低下を伴う後遺症である。CIPNは患者の60%以上で認められ、持続的な疼痛、灼熱感やしびれを引き起こす。CIPNは多くの場合、救命を可能にする抗がん治療を制限・中止させたりするだけでなく、治療後のQOLが大幅に低下する場合がある。しかし、CIPNの臨床的負担が大きいにもかかわらず、効果的な予防法はなく、現在の治療法ではわずかな緩和が得られるだけである。今回Mario Helesらは、天然の幻覚性化合物であるpsilocybinについてCIPNに対する治療薬となる可能性を検討した。

 

CIPNはミトコンドリアの機能不全、ならびに感覚神経線維において極めて広範囲にわたる部分の進行性の変性に関係するとされている。これまでの研究から、psilocybinは5HT2A受容体を介して神経可塑性を促進することが示唆されている。5HT2A受容体はミトコンドリア産生および感覚性疼痛経路にも影響する可能性があることから、Helesらは「psilocybinは神経系において持続的なリモデリングおよび保護をもたらす」可能性があるという仮説を立てた。臨床的に意味のあるサイクルでプラチナおよびタキサンベースの化学療法を繰り返し施行した担がん動物モデルにおいてHelesらは、化学療法前にpsilocybinを投与すると持続的に最高6サイクルの化学療法においても持続的にCIPNが予防され、化学療法の抗がん効果は抑制されないことを示した。「この研究はCIPNについて、単に神経損傷に不可避的に伴う後遺症としてだけでなく、早期の介入によって改善可能性のあるレジリエンスの障害として捉え直したものである」と、関連するPerspectiveでMaria Maiarúは記し、「ここで課題となるのは、こうして得られたメカニズムの洞察を注意深くデザインされた臨床試験で検証することである・・・」と述べている。Maiarúはまた、今回の所見の適用範囲は化学療法誘発性神経障害を越えて、慢性疼痛に対する疾患修飾療法としての可能性を秘めている、と指摘している。


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