News Release

気候温暖化が東部太平洋のエルニーニョ変動を増幅している

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ガラパゴス諸島のサンゴに刻まれた1000年にわたる記録から、地球の温暖化に伴ってエルニーニョ現象が強まっており、東部太平洋におけるエルニーニョ・南方振動(ENSO)の変動が産業革命以前よりも約37%大きくなっていることが示唆された。この研究結果は、気候変動が、異常気象をもたらす世界で最も重要な要因の一つをすでに増幅させており、生態系、インフラ、人間社会に対するリスクを増大させている可能性があることを示唆するものである。ENSOは、毎年起こる異常気象の主な要因であり、干ばつ、洪水、山火事、サンゴの白化現象、農業や人間の健康への影響と関連している。この現象は、熱帯太平洋と大気との複雑な相互作用によって生じる。ここ数十年間に、海水温の上昇が熱帯太平洋の全域に及ぶような、異常に強いエルニーニョ現象が何度も発生している。しかし、記録が限られていることと、ENSOの自然変動が大きいことから、こうした変化が人為的な温暖化によるものかどうかを判断するのはこれまで難しかった。事態をさらに複雑にしているのは、継続する温暖化に対してENSOがどう反応するかについて、現行の気候モデル間で意見が一致しない傾向があるという事実である。したがって、モデルを制約するために信頼できる基準値を定め、将来におけるENSOの異常変動に関して予測精度を向上するには、より長期かつ高精度な熱帯太平洋の古気候記録が不可欠である。

 

この問題に対処するため、Julia Coleらは、現生のサンゴとガラパゴス諸島のサンゴ化石に対して高精度の地球化学測定を行い、その結果を用いて過去1000年間の海面水温を再現し、東部赤道太平洋の季節変動記録を作成した。ガラパゴス諸島は東部太平洋のENSO海域の中央に位置しているため、そのサンゴの化学組成からは、エルニーニョ現象に関連した海水温変化の高感度な記録が得られる。次にColeらは、その結果を、中部太平洋のサンゴの記録やその他のENSO再現記録と比較した。また、観察された変化が自然変動によって説明できるかどうかを、12の気候モデルによる産業革命以前の気候シミュレーションと比較することによって検証した。その結果、ENSOの変動は地球温暖化に伴って急激に増大しており、その増大が最も大きかったのは過去40年間だったことが示された。現代の変動は、産業革命前の1000年間と比べて36.5%大きい。これは主に、エルニーニョ現象の頻度が高く、より強力なためである。この増大は、自然強制と内部変動によってもたらされる気候シミュレーションの範囲を超えており、最近の変化が異常に強いこと、および現在の気候温暖化でENSOが強まっていることを示すものである。


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