化学的に修飾されたサプレッサー転移RNA(tRNA)と肺を標的とした送達システムとの併用により、ナンセンス変異が原因の嚢胞性線維症のモデルにおいて極めて重要なタンパク質の産生を回復させられることが、新たな研究により示されている。「こうした作用を臨床適用して、嚢胞性線維症患者の呼吸機能を改善するためにはさらなる研究が必要であろう。特に、Chenらがマウスで示した本結果や吸入(脂質ナノ粒子)送達についてのこれまでの動物研究の両方で認められた用量依存性の炎症を考えると、これらの研究では副作用の解明が求められるであろう」と、関連するPerspectiveでJacob MyersonとDrew Weissmanは述べている。ナンセンス変異とは、メッセンジャーRNA(mRNA)に未成熟終止コドンを生じさせ、これによって細胞内のタンパク質産生を早期に中止させて、多くの場合に機能しない短縮タンパク質が生じる結果となる。こうしたナンセンス変異は、ヒトの遺伝的疾患の約11%で認められるため、正常な全長タンパク質の産生を回復できる治療薬の開発に多大な関心が向けられている。サプレッサーtRNAは有望なアプローチを提供する。mRNAに生じた未成熟終止コドンを認識させるためにtRNAのアンチコドンに修飾を加えて作製されたサプレッサーtRNAは、適切なアミノ酸を挿入して、それによって機能する全長タンパク質の翻訳が細胞内で再開できるようになる。しかしこれまで、サプレッサーtRNAの臨床的有用性は、非効率的なリードスルー、免疫原性、および体内への送達の難しさによって制限されてきた。
これらの問題に取り組むためJingan Chenらは、化学的に修飾したサプレッサーtRNAおよび吸気を介して肺内に送達するための脂質ナノ粒子(LNP)を作製して、嚢胞性線維症の責任遺伝子である嚢胞性線維症膜貫通伝導制御因子(CFTR)遺伝子におけるナンセンス変異を修復できるかどうかを調べた。Chenらは同アプローチを、気管支上皮細胞、マウスモデル、ならびに患者由来の嚢胞性線維症オルガノイドで検討したところ、化学的修飾により未成熟終止コドンのリードスルーとtRNAのアミノアシル化が増加し、tRNAの機能活性が延長し、自然免疫活性化が抑制されることがわかった。さらに、同アプローチによりCFTRタンパク質の産生および機能が、細胞、動物、ならびに患者由来のオルガノイドモデルにおいて回復された。
Journal
Science
Article Title
Nonviral delivery of chemically modified tRNA rescues nonsense mutations in cystic fibrosis
Article Publication Date
27-Aug-2026