image: This diagram shows how the introduction of LALBA enables HMO production and how the modulation of glycosyltransferase expression levels affects the composition of the HMOs.
Credit: Morihisa Fujita, Institute for Glyco-core Research (iGCORE), Gifu University
【本研究のポイント】
・ 通常は母乳オリゴ糖(HMO)をつくらない培養細胞株に、α-ラクトアルブミン(LALBA)を導入し、HMOの合成経路を再構築しました。
・ 早産児や低体重児でみられる壊死性腸炎の予防因子として注目されているジシアリルラクト-N-テトラオース(DSLNT)など、少なくとも8種類のHMOを生産しました。
・ HMOの合成に関わる酵素の組み合わせを変えることで、HMOの種類と割合を調節できることを示しました。
・ 培養細胞でつくったHMOは、乳児腸内に多く存在するビフィズス菌の増殖を促す活性も確認されました。
・ 本成果は、複雑なHMOの生合成機構を解明し、目的に応じたHMOを設計・生産するための新しい研究基盤となります。
【研究概要】
岐阜大学糖鎖生命コア研究所の藤田盛久教授、木塚康彦教授、中嶋和紀准教授らの研究グループは、京都大学大学院生命科学研究科の片山高嶺教授、加藤紀彦准教授らの研究グループとの共同研究で、一般的な培養細胞の中に母乳オリゴ糖(HMO)の合成経路を再構築することに成功しました。
母乳には、乳児の栄養となる脂質やタンパク質だけでなく、HMOと呼ばれる多様な糖鎖が豊富に含まれています。HMOは腸内の有用な細菌を選択的に増やしたり、病原体の感染を防いだりするほか、免疫機能や腸・脳の発達を支える重要な役割を担っています。
研究グループは、哺乳動物由来の培養細胞株において、HMO合成の出発点となる乳糖をつくるための因子「α-ラクトアルブミン(LALBA)」が欠けていることに着目しました。LALBA遺伝子を導入すると、細胞内の既存の糖鎖合成装置が働き始め、複数種類のHMOが培養液中に分泌されました。さらに、細胞内でHMOを作る酵素の量を変えることで、合成されるHMOの組成を大きく変えることにも成功しました。本研究は、HMOの「作られる仕組み」を解明し、自在に作り分ける新しい技術への道を開くものであり、腸内細菌研究、さらには健康・医療分野への幅広い応用が期待されます。
本研究成果は、日本時間2026年6月20日にMetabolic Engineering誌のオンライン版で発表されました。
【研究の詳細】
https://www.gifu-u.ac.jp/news/research/uploads/20260625press01.pdf
Journal
Metabolic Engineering
Method of Research
Experimental study
Subject of Research
Cells
Article Title
Reconstitution of Human Milk Oligosaccharide Biosynthesis in Cultured Mammalian Cells
Article Publication Date
20-Jun-2026