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人間の直感を超えた弾性波の制御構造を高速に自動設計 ――モバイル機器応用などに期待――

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

人間の直感を超えた弾性波の制御構造を高速に自動設計 ――モバイル機器応用などに期待――

image: 遺伝的アルゴリズムを用いて自動設計した弾性波の制御構造 view more 

Credit: 東京大学 生産技術研究所

フォノニック結晶と呼ばれる周期構造により、弾性波、すなわち結晶中の振動(フォノン)の伝播特性を制御することが可能です。しかし、通常のフォノニック結晶は、人間が想像しうる比較的単純な構造になりがちなため、所望の特性を得るための構造最適化の探索範囲が限られたものになります。

東京大学生産技術研究所のディエゴ ミシェル 特任助教、野村 政宏 教授らは、遺伝的アルゴリズムと呼ばれる逆設計法を利用して、フォノニック結晶を自動的に設計する方法を開発しました。この方法では、最適化したい弾性波特性を決定しアルゴリズムに入力すると、その特性を最大化する構造パラメータを自動的に見つけ出します。このアルゴリズムは、人間が想像しうる範囲よりもはるかに広い範囲を探索して最適形状を見出すため、より高性能なフォノニック結晶構造を設計することができます。本研究では、その一例として、方向によって弾性波の伝搬のしやすさが異なるという、異方性をもった弾性波制御構造を設計することを目的とし、2次元フォノニックナノ構造を最適化しました。そして、実際にその設計に基づいてシリコン薄膜を用いて構造を製作し、設計通りの高い異方性を観測しました。

本設計手法は、高感度センシングや弾性波素子はもちろん、将来的には量子科学分野にも応用が期待できます。フォノニック結晶は、表面弾性波の伝搬制御にも効果的な構造であるため、特に、スマートフォンの表面弾性波素子への応用など、通信分野への応用が期待できます。


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